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こんにちは、三重県伊賀市の歯医者、峰歯科・矯正歯科クリニックの院長、KSK（けいすけ）こと峰啓介です。

今回は、通説とは少し違う角度から、第一次天正伊賀の乱の前段階である「丸山城破壊事件」の背景について考えていきます。

◼️通説の説明

通説では次のように語られています。

1　1578年、織田信雄が伊賀の丸山に密かに城を築こうとした

2　しかし伊賀の人々に気付かれて破壊された

3　1579年、怒った信雄が父である信長に知らせず伊賀へ出兵

4　しかし大敗した

5　のちに信長に叱責された

一般的にはこれが「第一次天正伊賀の乱の発端」とされています。

しかし、この流れにはどうしても不自然な点があります。

◼️丸山に城を密かに造ることは不可能

丸山城は伊賀鉄道丸山駅から南東の方向に見える山に作ろうとしていました。とても大規模な城です。

伊賀に住んでいる方なら分かると思いますが、そんなところに伊賀の人に隠れて大規模な城を築くことは事実上不可能です。絶対バレます。

もし伊賀を制圧するための城を築くなら、普通は伊賀の外周部に配置します。中心に築く理由はありません。

つまり、丸山城の築城には最初から伊賀の人々の協力があったと考える方が自然です。

◼️丸山は北畠具教が城を築こうとした場所

もう一つ重要な事実があります。北畠具教がかつて伊賀の丸山に城を築こうとした場所でもあります。そして具教を殺害したのが織田です。

具教が築こうとした場所に、具教を滅ぼした人物が再び城を築く。これは流石に陰謀めいたものを感じずにはいられません。

さらに同じ1578年、具教の弟である北畠具親が名張で城を築いています。これもとても大きな規模の城です。

北畠具親城跡と丸山城跡は、現在も地図で確認できます。伊賀にふたつの城を同時期に建設していたのです。

◼️二つの築城に見える、伊賀内部の構造

この二つの出来事は次のように解釈できます。

丸山城の築城　伊賀北部の協力

名張の具親城　名張忍者の協力

伊賀北部と南部、つまり伊賀市側と名張側が、それぞれの勢力を支援していたと考えると、二つの築城が同時期に行われた理由も理解できます。

◼️丸山城破壊の実行者は誰か

通説では「伊賀者が破壊した」と一括りにされますが、伊賀が一枚岩でないことはこれまでの考察からも明らかです。

私の考えでは、丸山城を破壊したのは名張忍者です。

北部伊賀が信雄と協力した築城に対して、名張側が反発し破壊した。その構図の方が、のちの第一次、第二次と連続する騒乱の理由とも一致します。

◼️信雄の侵入ルートが示すもの

信雄の第一次伊賀攻めの侵入ルートを見ると、伊賀の中心部ではなく名張方面に向かっているように読める部分があります。

もし破壊したのが名張忍者であったなら、信雄が名張側に向かったのは自然な流れです。

つまり第一次天正伊賀の乱は、

伊賀　対　織田　　ではなく

名張　対　織田

という構図だった可能性があります。

◼️次回へ

次回は、この南北対立の構図を踏まえ、第一次天正伊賀の乱の実像について考えていきます。

どうぞお楽しみに。

天正伊賀の乱⑤

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